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容量市場とは何か?蓄電池投資の収益にどう関わるかを仕組みから整理

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容量市場とは何か?蓄電池投資の収益にどう関わるかを仕組みから整理

容量市場とは「供給力そのもの」に対価を支払う仕組み

容量市場は、将来の一定時点において電力の供給力(kW価値)を確保しておくために、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が運営する市場です。電気そのもの(kWh)を売買する卸電力市場(JEPX)とは異なり、「必要なときに電気を供給できる状態にあること」自体に対価が支払われる点が最大の特徴です。

系統用蓄電池の収益構造(別記事「系統用蓄電池は何で収益を得るのか」参照)では、卸電力市場・需給調整市場と並ぶ3つの収益源の一つとして位置づけられており、蓄電池投資を検討するうえで制度の骨格を理解しておきたい市場です。

なぜ容量市場が必要とされたのか

電力自由化以降、発電事業者の収入は卸電力市場などでの販売収入(kWh価値)が中心になりました。しかし市場価格は需給によって大きく変動するため、販売収入だけでは、将来にわたって発電所や蓄電池といった供給力を維持・新設する投資の見通しを立てにくいという課題が指摘されてきました。

そこで、供給力を「あらかじめ確保しておく」ための対価を市場メカニズムで決める仕組みとして容量市場が整備されました。OCCTOの公表資料では、将来の供給力不足を防ぎ、電気を安定的に届けるための制度として位置づけられています。再生可能エネルギーの導入拡大で従来型電源の稼働率が下がる中、供給力維持の重要性は増しているとされています。

なお、容量市場で供給力提供者に支払われる対価の原資は、小売電気事業者などが負担する容量拠出金で賄われる仕組みとされています。つまり容量市場は「電気を使う側全体で、将来の供給力を支える」制度設計であり、その分、対価の水準や負担のあり方については制度見直しの議論が継続しています。

kW価値・kWh価値・ΔkW価値 — 3つの価値の違い

容量市場を理解するうえで役立つのが、電気の価値を3つに分ける整理です。

| 価値 | 内容 | 取引される市場 | |---|---|---| | kWh価値 | 実際に発電・供給された電気そのもの | 卸電力市場(JEPX) | | ΔkW価値 | 指令に応じて出力を調整できる能力 | 需給調整市場 | | kW価値 | 将来、電気を供給できる能力(供給力) | 容量市場 |

系統用蓄電池は、この3つの価値をいずれも提供し得る設備です。容量市場はこのうちkW価値に対価を支払う市場であり、「実際に発電したかどうか」ではなく「供給できる状態を維持しているか」が対価の根拠になる点で、他の2つと性質が異なります。

オークションの仕組み

容量市場の中心は、OCCTOが実施する「メインオークション」です。将来必要となる供給力の量をあらかじめ見積もり、その量を確保できるよう事業者から応札を募って、価格の低い順に落札していく — というのが基本の考え方です。一般的な流れは次のとおりです。

  1. メインオークション: 実際に電気を供給する年度(実需給年度)の数年前に実施され、発電事業者や蓄電池事業者などが供給力を応札します
  2. 追加オークション: 実需給年度が近づいた時点で、需要想定の変化などを踏まえて供給力を追加調達・調整するために実施されます
  3. 実需給年度: 落札した事業者は容量確保契約にもとづき供給力を提供し、対価(容量確保契約金額)を受け取ります

約定価格は、あらかじめ設定された需要曲線と事業者の応札の突き合わせによって決まり、オークションの実施年度ごとに変動します。過去のオークションでも約定価格は年度により大きく異なっており、将来の価格水準をあらかじめ見通すことは困難です。オークションの実施スケジュール・約定結果はOCCTOが公表しているため、事業計画に容量市場収入が含まれる場合は、その前提を公表資料と突き合わせて確認できます。

容量市場オークションから対価受け取りまでの流れ
容量市場オークションから対価受け取りまでの流れ

蓄電池投資の収益にどう関わるか

系統用蓄電池も、一定の要件を満たせば容量市場に参加し、供給力を提供する対価を得られる場合があります。蓄電池投資の観点から押さえておきたいのは次の3点です。

稼働量ではなく「供給できる状態」への対価

卸電力市場での売買差益(アービトラージ)が市場価格の変動に依存するのに対し、容量市場の対価は契約にもとづいて支払われるため、収益の予見性を高める要素として整理されることがあります。ただし、対価の水準はオークション結果次第であり、固定的な収入が長期にわたり保証される仕組みではありません。

リクワイアメント(要件)とペナルティ

容量確保契約には、供給力を提供できる状態を維持するための要件(リクワイアメント)が定められており、要件を満たせない場合には対価の減額などのペナルティが課され得ます。蓄電池の場合、充電状態や経年劣化による実効容量の低下が要件充足に影響する可能性があるため、運用体制とあわせて確認が必要です。

制度は見直しが続いている

容量市場は比較的新しい制度であり、オークションの需要曲線の設定方法や参加要件などは継続的に見直されています。また、脱炭素電源への新規投資を対象とした長期脱炭素電源オークションという別枠の仕組みも整備されており、蓄電池が関わる制度は複数併存しています。

投資判断で確認すべき点

容量市場からの収益を含む事業計画を検討する際は、少なくとも次の点を確認しておきたいところです。

  • 収益計画の前提: 事業計画に容量市場収入が含まれる場合、どの年度のオークション結果(または想定価格)を前提にしているか。将来の約定価格を楽観的に固定していないか
  • 落札の有無と契約内容: 対象設備が実際に落札済みか、応札予定の段階か。容量確保契約の期間と対価の内訳
  • リクワイアメントへの対応: 要件を満たすための運用体制(監視・制御・O&M)が整っているか。ペナルティ条件は説明されているか
  • 制度変更リスクの扱い: 制度見直しで対価水準や要件が変わった場合の影響が、リスクとして説明されているか
  • 他の収益源とのバランス: 容量市場・卸電力市場・需給調整市場の収益配分の想定に無理がないか

特に注意したいのは、販売資料などで容量市場収入が「安定収入」とだけ表現されているケースです。容量確保契約にもとづく対価は市場価格の変動を直接受けにくい一方、(1) 落札できるかどうか、(2) 約定価格がいくらになるか、(3) 要件を満たし続けられるか、という3つの不確実性を伴います。「安定」という言葉が何を指しているのかを、契約と制度の実態に即して確認することが大切です。

これらは容量市場に固有の論点であり、再エネ投資全般に共通する確認事項は「再エネ投資のリスク一覧」もあわせてご覧ください。

まとめ

容量市場は、電気そのものではなく「供給できる状態」というkW価値に対価を支払う市場であり、系統用蓄電池の収益源の一つとなり得ます。一方で、対価はオークション結果によって年度ごとに変動し、要件を満たせない場合のペナルティや制度見直しの可能性もあります。事業計画に容量市場収入が織り込まれている場合は、その前提条件と契約の実態を一次情報(OCCTOの公表資料等)で確認したうえで判断することが重要です。関連する用語は用語集でも解説しています。

出典・参考資料

執筆者

Wealth HUB 編集部

運営: 株式会社ファンベスト

系統用蓄電池・不動産などの実事業を持つ株式会社ファンベストが運営する、資産運用・投資情報メディアの編集部です。制度・数値は一次情報を出典として明記し、特定の金融商品の売買を推奨しない編集方針で記事を制作しています。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・投資案件の売買を推奨し、または投資勧誘を行うものではありません。記事内で言及する制度・数値・利回り等は一般的な解説であり、将来の成果や収益を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

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