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電力市場の登場人物を整理する。発電・送配電・小売・広域機関の役割

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電力市場の登場人物を整理する。発電・送配電・小売・広域機関の役割

なぜ「登場人物」の整理が必要か

太陽光発電や系統用蓄電池への投資を検討すると、「一般送配電事業者に接続を申し込む」「JEPXの価格で売電する」「OCCTOの公表情報を確認する」といった説明が次々に登場します。それぞれが誰で、何をしている組織なのかが分からないと、案件説明の理解も一次情報の確認もできません。本記事では、電力市場の主要な登場人物を役割ごとに整理します。

日本の電力システムは、かつて地域ごとの電力会社が発電から販売までを一貫して担っていましたが、電力システム改革を経て、発電・送配電・小売の3つの機能が分離され、発電と小売には多様な事業者が参入する構造になっています。

電力市場の全体構造: 発電事業者→(JEPX卸電力市場での取引)→小売電気事業者→需要家。電気の物理的な流れは一般送配電事業者の送配電網を通り、OCCTOが全国の需給・系統を調整する
電力市場の全体構造: 発電事業者→(JEPX卸電力市場での取引)→小売電気事業者→需要家。電気の物理的な流れは一般送配電事業者の送配電網を通り、OCCTOが全国の需給・系統を調整する

電気の流れを担う3つの事業者

発電事業者

火力・水力・原子力・太陽光・風力などの発電設備で電気をつくる事業者です。再エネ投資家が保有する太陽光発電所も、規模等の要件に応じてこの発電側のプレイヤーに位置づけられます。系統に接続して電気を送り出すためには、系統連系の手続き(別記事「系統連系で失敗しないために」参照)を経る必要があります。

一般送配電事業者

送電線・配電線・変電所といった系統設備を維持・運用し、発電された電気を需要家まで届ける事業者です。北海道から沖縄まで全国に10社あり、それぞれの供給区域を担当します。送配電部門は電気を安定して届ける公共インフラの性格が強いため、自由化後も地域独占が維持され、国の認可を受けた託送料金で運営されています。エリアの需給バランスを保つ責任を負っており、供給過剰時の出力制御を実施するのもこの事業者です。

小売電気事業者

需要家(家庭・企業)と契約し、電気を販売する事業者です。小売全面自由化により多数の事業者が参入しています。小売電気事業者は、自社で発電所を持つ場合もあれば、卸電力市場や発電事業者からの相対契約で電気を調達する場合もあります。卒FIT後の太陽光の売電先や、コーポレートPPAのような長期の相対契約の相手方として、再エネ投資家と直接関わる場面もあるプレイヤーです。

市場・制度を支える2つの機関

電力広域的運営推進機関(OCCTO)

全国大での電力の安定供給を支えるために設立された認可法人で、需給計画・系統計画の取りまとめ、地域間連系線の運用、系統アクセス業務のルール整備などを担います。再エネ投資家にとっては、系統の空き容量情報や系統アクセス手続きのルール、容量市場・需給調整市場といった市場制度の運営主体として関わりの深い機関です。

日本卸電力取引所(JEPX)

電気の卸取引を行う取引所です。発電事業者や小売電気事業者が参加し、翌日受け渡しの電気を取引するスポット市場などが運営されています。FIP制度の下で売電する再エネ電源や、市場価格差を収益源とする系統用蓄電池にとって、JEPXの価格は収益を直接左右する指標になります(詳細は別記事「JEPXとは。卸電力市場の価格はどう動くか」参照)。

取引の「場」も複数ある

登場人物と併せて押さえたいのが、電気とその価値が取引される複数の「場」です。JEPXのスポット市場(電気そのもの=kWh価値の取引)のほかに、将来の供給力(kW価値)を取引する容量市場、周波数維持などの調整力(ΔkW価値)を取引する需給調整市場があり、いずれもOCCTOや関係機関が運営・関与しています。系統用蓄電池のように複数の市場から収益を組み合わせる投資では、「どの市場の、どの価値から収益を得るスキームなのか」を切り分けて理解することが、案件説明を鵜呑みにしないための基礎になります(各市場の詳細は別記事「容量市場とは何か」「需給調整市場とは」参照)。

監視・規制とあたらしいプレイヤー

国・規制当局

経済産業省・資源エネルギー庁が電気事業制度の設計を担い、電力・ガス取引監視等委員会が市場取引の監視や料金規制を担っています。FIT/FIP、発電側課金、出力制御ルールといった再エネ投資の前提となる制度は、これらの機関の審議・公表資料が一次情報になります。事業者のセールス資料に書かれた制度説明は要約・解釈が入っている場合があるため、判断の根拠にする際は元の公表資料まで遡って確認する習慣が重要です。

アグリゲーター(特定卸供給事業者)

多数の分散した電源・蓄電池・需要側リソースを束ねて、電気や調整力として取引につなぐ事業者です。個々の設備の規模が小さくても、束ねることで市場取引に必要な規模・信頼性を満たせるようにする、いわば「まとめ役」の存在です。系統用蓄電池投資では、市場取引の実務をアグリゲーターに委ねるスキームが一般的で、どのアグリゲーターと組むかが運用成績を左右する要素になります(系統用蓄電池投資の仕組みは別記事「系統用蓄電池投資の仕組みとは」参照)。

発電と需要の間に立つ蓄電池

系統用蓄電池は、充電時には電気の受け手、放電時には送り手として振る舞う両面性のある設備です。従来の「発電から需要へ一方向に流れる」構造に、双方向のプレイヤーが加わったことが近年の電力市場の大きな変化であり、蓄電池を対象とする投資商品が増えている背景でもあります。

投資家にとってなぜ重要か

登場人物の整理は単なる知識ではなく、案件検討の実務に直結します。

  • 契約相手の特定: 売電契約は誰と結ぶのか、接続契約は誰と結ぶのか、運用は誰に委ねるのかが、登場人物の役割を知っていれば正確に読み取れます
  • 一次情報の確認先: 系統情報はOCCTOと一般送配電事業者、市場価格はJEPX、制度は資源エネルギー庁、というように確認先を正しく選べます
  • リスクの所在の理解: 出力制御は一般送配電事業者の運用、市場価格はJEPXの需給、制度変更は国の審議、とリスクの発生源を切り分けて評価できます

投資判断で確認すべき点

  1. 案件の登場人物マップ: 検討中の案件について、発電事業者・接続先の一般送配電事業者・売電先・運用委託先(アグリゲーター等)が誰かを一覧にして把握したか
  2. 各契約の相手方と役割の整合: 事業者の説明資料に登場する各社の役割が、本記事で整理した機能分担と整合しているか。役割の不明な関係者がいないか
  3. 収益が依存する市場・制度の確認先: 案件の収益がJEPX価格・容量市場・FIT/FIPのどれに依存するかを特定し、それぞれの一次情報の確認先を把握したか
  4. 運用委託先の位置づけ: アグリゲーター等に運用を委ねる場合、その事業者の実績・体制を確認したか

まとめ

電力市場は、電気をつくる発電事業者、届ける一般送配電事業者、売る小売電気事業者という3つの機能と、それを支えるOCCTO・JEPX・国の機関、そして電源を束ねるアグリゲーターなどの新しいプレイヤーで構成されています。再エネ投資の案件説明は、この構造の上に成り立っているため、登場人物と役割を押さえることが、案件を正しく理解し一次情報にあたるための第一歩になります。個別の用語は用語集も併せて参照してください。

出典・参考資料

執筆者

Wealth HUB 編集部

運営: 株式会社ファンベスト

系統用蓄電池・不動産などの実事業を持つ株式会社ファンベストが運営する、資産運用・投資情報メディアの編集部です。制度・数値は一次情報を出典として明記し、特定の金融商品の売買を推奨しない編集方針で記事を制作しています。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・投資案件の売買を推奨し、または投資勧誘を行うものではありません。記事内で言及する制度・数値・利回り等は一般的な解説であり、将来の成果や収益を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

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