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中小企業経営強化税制は再エネ設備に使えるか。適用が分かれるポイントと手続きの流れ

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中小企業経営強化税制は再エネ設備に使えるか。適用が分かれるポイントと手続きの流れ

この記事で分かること

中小企業経営強化税制は、中小企業の設備投資を後押しする代表的な税制優遇措置の一つで、太陽光発電設備や蓄電池を検討する際にも名前が挙がることの多い制度です。一方で、再エネ設備なら常に使えるわけではなく、設備の用途や手続きの順序によって適用の可否が分かれます。本記事では、国税庁・中小企業庁の公表情報に基づいて制度の骨格と手続きの流れを整理します。なお、税制は個社の状況(資本金規模、事業内容、設備の用途、取得時期等)によって取扱いが大きく異なるため、実際の適用可否・具体的な取扱いは必ず税理士等の専門家に確認してください。

制度の骨格: 即時償却または税額控除の選択適用

国税庁のタックスアンサー(No.5434)によれば、中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業者等のうち、中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が、認定を受けた経営力向上計画に記載された新品の特定経営力向上設備等を取得し、国内の指定事業の用に供した場合に、特別償却または税額控除の選択適用を認める制度です。

  • 特別償却: 取得価額から普通償却限度額を控除した金額まで償却できる、いわゆる即時償却(取得年度に全額を損金算入)に相当する仕組み
  • 税額控除: 取得価額の7%(一定の要件を満たす特定中小企業者等は10%)相当額を法人税額から控除する仕組み。控除上限は調整前法人税額の20%相当額とされ、控除しきれない金額は1年間の繰越しが認められる

適用対象となる期間(指定期間)は平成29年4月1日から令和9年3月31日までとされています(2026年7月時点の国税庁公表情報による)。期限や要件は税制改正で変更され得るため、検討時点の最新情報の確認が前提になります。

即時償却と税額控除のどちらが有利かは、その事業年度の課税所得の状況等によって変わります。両者の性質の違いは別記事「即時償却と特別償却の違い」と「税額控除の基礎」で詳しく整理しています。

対象となる法人の範囲にも注意

「中小企業向け」と呼ばれる制度ですが、対象となる中小企業者等の範囲は細かく定義されています。国税庁の公表情報によれば、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人が基本となる一方、発行済株式の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人や、3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人などは対象から除かれます。また、直近3事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等(適用除外事業者)も対象外とされています。資本金だけを見て「うちは使える」と判断せず、株主構成や所得水準まで含めて該当性を確認する必要があります。

再エネ設備で適用が分かれるポイント

設備の用途: 売電目的か自家消費か

再エネ設備への適用で最も注意したいのが、設備の用途による線引きです。この制度は指定事業の用に供する設備を対象としており、発電した電気を専ら売電することを目的とする設備は対象外とされる場合があります。一方、自家消費を主な目的とする太陽光発電設備などは、要件を満たせば対象となり得ると整理されてきました。売電比率をどう扱うかなどの具体的な線引きは年度の制度要件によって変わり得るため、最新の取扱いは中小企業庁の公表資料と税理士等への確認で判断する必要があります。

設備の類型と証明・確認の手続き

対象設備は、生産性向上や収益力強化などに資するものとして、制度が定める類型ごとの要件を満たす必要があります。類型によって、工業会等による証明書の取得や、投資計画に関する経済産業局の確認など、必要な手続きが異なります。設備のカタログスペックだけでは判断できないため、販売事業者・メーカーに証明書取得の可否を確認することが実務上の出発点になります。

手続きの順序: 認定は原則として取得の前

この制度は、経営力向上計画の認定を受けた計画に記載された設備が対象です。したがって、原則として設備の取得前に計画の策定・認定という手続きを進めておく必要があります。認定には一定の審査期間を要するため、設備の納期や連系スケジュールと手続きの時間軸を並行して管理しないと、適用機会を逃すことがあり得ます。

中小企業経営強化税制の適用までの流れ: 要件確認、経営力向上計画の認定、設備取得・事業供用、税務申告の4ステップ
中小企業経営強化税制の適用までの流れ: 要件確認、経営力向上計画の認定、設備取得・事業供用、税務申告の4ステップ

適用手続きの一般的な流れ

  1. 要件の事前確認: 自社が中小企業者等の要件(資本金規模等)を満たすか、検討中の設備が対象類型に該当し得るかを確認する
  2. 経営力向上計画の策定・認定: 計画を策定し、事業分野ごとの主務大臣に申請して認定を受ける(申請の手引き・様式は中小企業庁「経営力向上支援」ページに掲載)
  3. 設備の取得・事業供用: 認定を受けた計画に基づき新品の設備を取得し、国内の指定事業の用に供する
  4. 税務申告: 確定申告時に必要書類を添付し、特別償却または税額控除の適用を受ける
再エネ設備で適用が分かれる考え方: 自家消費を主とする設備は対象となり得る、専ら売電目的の設備は対象外とされる場合がある
再エネ設備で適用が分かれる考え方: 自家消費を主とする設備は対象となり得る、専ら売電目的の設備は対象外とされる場合がある

中小企業投資促進税制との使い分け

中小企業向けの設備投資減税には、中小企業経営強化税制のほかに中小企業投資促進税制(国税庁タックスアンサーNo.5433)もあります。後者は経営力向上計画の認定を必要とせず、基準取得価額の30%相当額の特別償却または7%相当額の税額控除(税額控除を適用できる法人の範囲には制限があります)を認める制度です。即時償却まで認める中小企業経営強化税制のほうが優遇の幅は大きい一方、認定手続きの負担があるため、設備の内容・金額・スケジュールによってどちらが適するかが変わります。両制度は税額控除の控除上限(調整前法人税額の20%相当額)を合計で共有している点にも注意が必要です。具体的な使い分けは、両制度の最新要件を確認した上で税理士等に相談してください。

投資判断で確認すべき点

  • 設備の用途区分: 検討中の設備が自家消費型か売電型か。売電を含む場合、制度上どう扱われるかを中小企業庁の最新資料と税理士等で確認したか
  • 手続きの時間軸: 経営力向上計画の認定を設備取得前に完了できるスケジュールか。納期・連系時期と逆算して整合しているか
  • 中小企業者等の該当性: 資本金規模や株主構成(大規模法人の出資割合等)により対象から外れる場合があることを確認したか
  • 税制メリット抜きの事業性: 税制優遇が使えなかった場合でも投資として成り立つ収支か。優遇の適用を前提にしないと成立しない計画は前提から見直す(この論点は別記事「法人の設備投資と『節税』の考え方」参照)
  • 適用期限と改正動向: 指定期間の期限、要件の年度改正を検討時点で確認したか

まとめ

中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を前提に、即時償却または税額控除(7%・特定中小企業者等は10%)の選択適用を認める制度です。再エネ設備では、専ら売電を目的とするか自家消費を主とするかで適用の考え方が分かれ、手続きの順序(認定が先)にも注意が必要です。制度の要件・期限は年度によって見直されるため、国税庁・中小企業庁の最新の一次情報を確認するとともに、適用可否や具体的な取扱いは必ず税理士等の専門家に相談してください。本記事は一般的な制度解説であり、個別の税務判断を提供するものではありません。

出典・参考資料

執筆者

Wealth HUB 編集部

運営: 株式会社ファンベスト

系統用蓄電池・不動産などの実事業を持つ株式会社ファンベストが運営する、資産運用・投資情報メディアの編集部です。制度・数値は一次情報を出典として明記し、特定の金融商品の売買を推奨しない編集方針で記事を制作しています。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・投資案件の売買を推奨し、または投資勧誘を行うものではありません。記事内で言及する制度・数値・利回り等は一般的な解説であり、将来の成果や収益を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

税制に関する論点を整理されたい方へ

税制優遇の適用可否は事業者の状況により異なり、最終的な判断には税理士等の専門家への確認が必要です。ご相談の前提となる論点整理について、事業者としての知見をもとにお話しすることができます。

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